規範・関係法令

一般社団法人 全国動物薬品器材協会 定款


平成25年4月1日施行
平成26年5月29日 一部改正
第1章 総則
(名称)
第1条 この法人は、一般社団法人全国動物薬品器材協会という。
(事務所)
第2条 この法人は、主たる事務所を東京都文京区に置く。

第2章 目的及び事業

(目的)
第3条 この法人は、動物用の医薬品、医薬部外品及び医療機器(以下「動物用医薬品等」という。)の円滑なる流通と普及を図るとともに、動物用医薬品等に関する適切な情報の収集及び提供を行うことにより、畜産の発展、動物の保健衛生の向上並びに公衆衛生の向上に寄与することを目的とする。

(事業)
第4条 この法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。
(1) 動物用医薬品等の流通に関する調査に関する事業
(2) 動物用医薬品等の品質の確保に関する調査研究に関する事業
(3) 動物用医薬品等の適正な利用の促進に関する事業
(4) 動物用医薬品等に関する知識及び関連情報等についての研修会の実施に関する事業
(5) 動物用医薬品等に関する各種資料の収集配布に関する事業
(6) 動物用医薬品等の販売業に関する法規及び販売機構についての調査研究に関する事業
(7) その他前条の目的達成に必要と認められる事業
2 前項各号に掲げる事業は、日本全国において行う。

第3章 会員

(法人の構成員)
第5条 この法人に次の会員を置く。
(1) 正会員 動物用医薬品等の販売業者又は動物用医薬品等の販売業者を会員とする都道府県の区域を地区とする動物薬品器材協会
(2) 賛助会員 この法人の事業に賛同する個人又は法人
2 前項の会員のうち正会員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の社員とする。

(入会)
第6条 この法人の会員になろうとする者は、理事長が理事会の議決を経て別に定める入会申込書を提出し、理事会の承認を受けなければならない。
2 前項の規定により入会申込書を提出しようとする者は、法人であるときは、次に掲げる書類を添付しなければならない。
(1) 定款又はこれに代わるべき規程
(2) 代表者の氏名及び住所を記載した書類
(3) その他理事長が必要と認めた書類
3  理事長は、前項の承認があったときは、その旨当該申込みをした者に通知するものとする。

(任意退会)
第7条 会員は、理事長が理事会で議決を経て別に定める退会届を理事長に提出して、任意にいつでも退会することができる。

(除名)
第8条 この法人は、会員が次の各号の一に該当するときは、総会の議決を経て、その会員を除名することができる。この場合には、その総会の開催の日の10日前までに、その会員に対し、その旨を書面をもって通知し、かつ、議決の前に弁明する機会を与えるものとする。
(1) この法人の事業を妨げ、又はその名誉を棄損する行為をしたとき。
 (2) 定款又は総会の決議に反する行為をしたとき。
2  理事長は、除名の決議があったときは、その旨を当該会員に通知するものとする。

(会員資格の喪失)
第9条 前2条の場合のほか、会員は、次のいずれかに該当するに至ったときは、その資格を喪失する。
(1) 第10条の会費を引き続き2年以上納入しなかったとき。
(2) 総正会員が同意したとき。
(3) 当該会員が死亡し、又は解散したとき。

(入会金及び会費)
第10 条 正会員は、入会の際に総会で別に定める入会金及び会費を納入しなければならない。
2  賛助会員は、総会で別に定める賛助会費を納入しなければならない。
3  既納の入会金、会費その他の拠出金品は、会員の退会、除名及び会員資格喪失の場合においても、これを返還しない。

(届出)
第11 条 法人である会員は、その名称、所在地、代表者の氏名又は定款又はこれに代わるべき規程に変更があったときは、遅滞なく協会にその旨を届け出なければならない。
2  法人である会員は、あらかじめ書面をもって、会員の代表者としてその権利を行使する者をこの法人に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

第4章 総会

(構成)
第12 条 総会は、すべての正会員をもって構成する。
2 前項の総会をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の社員総会とする。

(権限)
第13 条 総会は、次の事項について決議する。
(1) 会員の除名
(2) 理事及び監事の選任又は解任
(3) 役員の報酬等の額及び支給の基準
(4) 貸借対照表及び正味財産増減計算書の承認
(5) 定款の変更
(6) その他総会で決議するものとして法令又はこの定款で定められた事項

(開催)
第14 条 総会は、通常総会及び臨時総会とする。
2 通常総会は、毎事業年度の終了後3箇月以内に開催する。
3 臨時総会は、次に揚げる場合に開催する。
(1) 理事会において必要と認めたとき。
(2) 総正会員の議決権の5分の1以上の議決権を有する正会員から総会の目的たる事項を示した書面により請求があったとき。

(招集)
第15 条 総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、理事長が招集する。
2 前条第3項第2号の規定により請求があったときは、理事長はその請求のあった日から3週間以内に総会を招集しなければならない。
3 総会の招集は、少なくともその開催の日の2週間前までに、会議の日時、場所、目的である事項ならびに総会に出席しない正会員が書面によって議決権を行使することができる場合は、その旨を記載した書面をもって通知してしなければならない。

(議長)
第16 条 総会の議長は、当該総会において、出席正会員のうちから選出する。

(議決権)
第17条 正会員は、総会において、各1個の議決権を有する。

(定足数)
第18 条 総会は、総正会員の議決権の過半数に当たる正会員が出席しなければ開くことができない。

(決議)
第19 条 総会の決議は、法令又はこの定款に別段の定めがある場合を除き、総正会員の議決権の過半数を有する正会員が出席し、出席した正会員の議決権の過半数をもって行う。
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事項は、総会において、総正会員の半数以上であって、総正会員の議決権の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
(1) 定款の変更
(2) 解散及び残余財産の処分
(3) 会員の除名
(4) 監事の解任
(5) その他法令で定められた事項
3 理事又は監事を選任する議案を決議するに際しては、候補者ごとに第1項の決議を行わなければならない。理事又は監事の候補者の合計数が第23条に定める定数を上回る場合には、過半数の賛成を得た候補者の中から得票数の多い順に定数の枠に達するまでの者を選任することとする。

(議決権の代理行使)
第20 条 総会に出席できない正会員は、委任状その他の代理権を証明する書面をこの法人に提出して、代理人にその議決権を代理行使させることができる。この場合においては、前条各項の規定の適用については、総会に出席したものと見なす。

(書面による議決権の行使)
第21 条 総会に出席できない正社員は、あらかじめ通知された事項につき、書面をもって議決権を行使することができる。この場合においては、当該議決権の数を第19条に定める出席した正会員の議決権の数に算入する。
2 前項の書面は、総会の日時の直前の業務時間の終了時までにこの法人の事務局に到達しない場合は、無効とする。

(議事録)
第22 条 総会の議事については、法令で定めるところにより、議事録を作成する。
2 議長は、前項の議事録に記名押印する。
3 議事録は、総会の日から10年間、主たる事務所に備え置かなければならない。

第5章 役員等

(役員の設置)
第23 条 この法人に、次の役員を置く。
(1) 理事11名以上17名以内
(2) 監事1名以上3名以内
2 理事のうちから理事長1名を置く。
3 理事のうちから副理事長3名以内、専務理事1名、常務理事2名以内を置くことができる。
4 第2項の理事長をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の代表理事とし、第3項の副理事長、専務理事及び常務理事をもって同法第91条第1項第2号の業務執行理事とする。

(役員の選任等)
第24 条 役員は、総会において、正会員(都道府県の区域を地区とする動物薬品器材協会にあっては、その代表者又は代表者の指名する者)のうちから選任する。ただし、総会で必要と認めたときは、正会員以外の者から選任することができる。
2 理事長、副理事長、専務理事及び常務理事は理事会の決議によって理事の中から選定する。
3 この法人の理事のうちには、理事のいずれか一人とその配偶者又はその3親等以内の親族その他特殊の関係がある者の合計数が、理事数(現在数)の3分の1を越えて含まれることになってはならない。
4 この法人の監事には、この法人の理事(親族その他特殊の関係がある者を含む。)及びこの法人の使用人が含まれてはならない。また、監事は、相互に親族その他特殊の関係があってはならない。

(理事の職務及び権限)
第25 条 理事は、理事会を構成し、法令及びこの定款で定めるところにより職務を執行する。

2 理事長は、法令及びこの定款で定めるところにより、この法人を代表し、その職務を総理する。
3 副理事長は、理事長を補佐してこの法人の職務を執行する。
4 専務理事は、理事長及び副理事長を補佐し、事務局を統轄して職務を執行する。
5 常務理事は、理事長及び副理事長を補佐して協会の職務を執行する。
6 理事長、副理事長、専務理事及び常務理事は、毎事業年度に4箇月を超える間隔で2回以上、自己の職務の執行状況を理事会に報告しなければならない。

(監事の職務及び権限)
第26 条 監事は、理事の職務の執行を監査し、法令で定めるところにより、監査報告を作成する。
2 監事は、いつでも理事及び使用人に対して事業の報告を求め、協会の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。

(任期)
第27 条 役員の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する通常総会の終結の時までとし、再任を妨げない。
2 補欠により就任した役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 役員は、第23条第1項に定める定数に足りなくなるときは、辞任又は任期満了により退任した後も、新たに選任された者が就任するまでは、なお役員としての権利義務を有する。

(解任)
第28 条 役員は、総会の決議によって解任することができる。

(役員の報酬)
第29 条 役員は、無報酬とする。
2 前項の規定にかかわらず、役員には、総会において定める総額の範囲内で、総会において別に定める報酬等の支給の基準に従って算出した額を報酬等として支払うことができる。

(顧問)
第30 条 この法人に、顧問を若干名置くことができる。
2 顧問は、理事会の承認を経て、理事長が委嘱する。
3 顧問は、この法人の運営上の重要事項について、理事長の諮問に応ずる。

第6章 理事会

(構成)
第31 条 この法人に理事会を置く。
2 理事会は、すべての理事をもって構成する。

(権限)
第32 条 理事会は、次の職務を行う。
(1) この法人の業務執行の決定
(2) 理事の職務の執行の監督
(3) 理事長、副理事長、専務理事及び常務理事の選定及び解職

(招集)
第33 条 理事会は、理事長が招集する。
2 理事長が欠けたとき又は理事長に事故があるときは、各理事が招集する。
3 理事会の議長は、理事長がこれにあたる。ただし、前項の場合にあっては、招集した理事がこれにあたる。

(決議)
第34 条 理事会の決議は、決議について特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
2 前項の規定にかかわらず、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第96 条の要件を満たしたときは、理事会の決議があったものと見なす。

(議事録)
第35 条 理事会の議事については、法令で定めるところにより、議事録を作成する。
2 出席した理事長及び監事は、前項の議事録に記名押印する。

第7章 専門委員会

(専門委員会)
第36 条 理事長は、この法人の事業の円滑な運営を図るため、必要と認めるときは、理事会の議決を経て、専門委員会を置くことができる。
2 専門委員は、専門的な知識を有する者のうちから理事会の承認を得て、理事長が任命する。
3 専門委員会の運営に関し必要な事項は、理事会の議決を経て、理事長が別に定める。


第8章 事務局等

(事務局及び職員)
第37 条 この法人の事務を処理するため、事務局を置く。
2 事務局に、事務局長及び所要の職員を置く。
3 事務局長は、理事長が理事会の承認を得て任免し、職員は理事長が任免する。
4 事務局及び職員に関する事項は、理事会の議決を経て、理事長が別に定める。

(業務の執行)
第38 条 この法人の業務の執行の方法については、理事会で定める。

第9章 資産及び会計

(事業年度)
第39 条 この法人の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年の3月31日に終わる。

(資産の構成)
第40 条 この法人の資産は、次の各号に掲げるものをもって構成する。
(1) 財産目録に記載された財産
(2) 入会金、会費及び賛助会費
(3) 寄附金品
(4) 事業に伴う収入
(5) 資産から生ずる収入
(6) その他の収入

(資産の管理)
第41 条 この法人の資産は、理事長が管理し、その方法は、総会の議決を経て、理事長が別に定める。

(経費の支弁)
第42条 この法人の経費は、資産の額を超えて支弁してはならない。

(事業計画及び収支予算)
第43 条 この法人の事業計画書及び収支予算書は、毎事業年度の開始の日の前日までに理事長が作成し、理事会の承認を得なければならない。これらの書類については、理事会の承認後、直近の総会に報告するものとする。これを変更する場合も同様とする。
2 前項の書類については、主たる事務所に、当該事業年度が終了するまでの間備え置くものとする。

(事業報告及び決算)
第44 条 この法人の事業報告及び決算については、毎事業年度終了後、理事長が次の書類を作成し、監事の監査を受けた上で、理事会の承認を受けなければならない。
(1) 事業報告
(2) 事業報告の附属明細書
(3) 貸借対照表
(4) 正味財産増減計算書
(5) 貸借対照表及び正味財産増減計算書の附属明細書
2 前項の承認を受けた書類のうち、第1号、第3号及び第4号の書類については、通常総会に提出し、第1号の書類についてはその内容を報告し、その他の書類については承認を受けなければならない。
3 この法人は、第1項の書類のほか、次の書類を主たる事務所に5年間備え置くとともに、定款及び会員名簿を主たる事務所に備え置くものとする。
(1) 監査報告
(2) 役員名簿

(剰余金)
第45 条 この法人は、剰余金の分配を行うことができない。

第10章 定款の変更、解散及び残余財産の処分

(定款の変更)
第46条 この定款は、総会の決議によって変更することができる。

(解散)
第47 条 この法人は、総会の決議、その他法令で定められた事由により解散する。

(残余財産の帰属)
第48 条 この法人が清算をする場合において有する残余財産は、総会の決議を経て、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。

第11章 公告の方法

(公告の方法)
第49 条 この法人の公告は、主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法により行う。

第12章 細則

(細則)
第50 条 この定款に定めるもののほか、この法人の事務の運営上必要な細則は、理事会の決議を経て、理事長が別に定める。


附則

1 この定款は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第121条第1項において読み替えて準用する同法第106条第1項に定める一般法人の設立の登記の日から施行する。
2 この法人の最初の理事長は高橋勇四郎とする。
3 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第121条第1項において読み替えて準用する同法第106条第1項に定める特例民法法人の解散の登記と一般法人の設立の登記を行ったときは、第39条の規定にかかわらず、解散の登記の日の前日を事業年度の末日とし、設立の登記の日を事業年度の開始日とする。

附則(略)



動物用医薬品等販売員等認定研修事業実施要綱



平成24年3月15日制定  
平成25年3月14日一部改正
(事業の目的)
第1 動物用医薬品及び動物用医療機器(以下「動物用医薬品等」という。)の適正な管理、流通及び使用を通じて、安全な畜水産物の安定的生産ならびに飼育動物の健康保持という社会的要請に対処するため、動物用医薬品等の販売に従事する者等を対象に、動物用医薬品等に関する知識、我が国の畜水産、家畜衛生の情勢、関連法規等についての研修を実施し、それらに関する知識を習得させることにより、その資質向上を図ることを目的とする。

(事業の内容)
第2 一般社団法人全国動物薬品器材協会(以下「協会」という。)は、上記事業の目的を遂行するため、次の事項を行う。
(1)研修会の開催
ア)新規認定研修会(毎年開催)
   下記イ)に該当しない動物用医薬品等の販売従事者等を対象にした、3日間の範囲内の研修会
イ)既認定研修会(5年に1回開催)
   認定販売員証を交付されている(原則として、過去5年以内に交付されたものに限る。)動物用医薬品等の販売従事者等を対象にした、2日間の範囲内の研修会 (2)認定販売員証の交付
  協会の理事長は、認定研修会修了者に認定販売員証を交付する。
(3)テキストの作成
  協会は、5年に1回の既認定研修会開催に合わせ、畜産学、獣医学、畜産事情、家畜衛生情勢、関連法規等を収載したテキストを作成する。

(実施要領)
第3 協会は、本事業の実施にあたっての具体的な事項について実施年度ごとに実施要領を定める。
(後援要請)
第4 協会は、当該研修事業の実施について農林水産省の後援を要請する。

附則
1 本要綱は平成24年4月1日より実施する。
2 本要綱は平成25年4月1日より実施する。

動物用医薬品の流通秩序に関する行動規範

昭和60年1月10日制定
平成17年6月 1日改正
動物用医薬品は、動物の健康と福祉を守り、かつ、健全な畜水産物の生産と社会生活の質的向上に寄与するものである。 動物用医薬品の要件である品質、有効性および安全性を、製造から流通段階を経てユーザーに使用されるまで保持するには、流通過程に関与する者が一致協力して流通秩序を維持することにより、品質の保全を図ることが必要である。本協会員は、関係業者およびユーザーの理解ある協力を得て、有効かつ公正な競争の場を確立し、流通秩序の適正化を図り、もってよりよき動物用医薬品の開発および供給に努めなければならない。
以上の使命を達成するとともに、業界の健全な発展に寄与するため、ここに行動規範を定める。 会員は、相互の信頼と協調の精神にもとづき、この行動規範に留意して活動することに努めるものとする。

1 品質保全
動物用医薬品の要件である品質、有効性および安全性を保全するために必要な取扱上の諸注意を遵守する。
動物用医薬品の品質保全は、製造過程と流通過程の管理を適正化し、製造販売業者及び製造業者並びに販売業者の相互協力によってその実現を図る。
なお、昭和54年6月20日付け「動物用医薬品の流通における品質保全に関する実践規範」を遵守する。

2 安定供給
動物用医薬品は、動物の健康と福祉を守り、かつ、健全な畜水産物の生産と社会生活の質的向上に寄与するために、適正な生産の下、安定的に適切な供給ができる流通態勢の整備に努める。

3 流通秩序の適正化
動物用医薬品は、その特性をよく認識し、関係業界の協力の下に流通面の混乱を避け、正しい情報活動にもとづく適正な商習慣にしたがって公正な競争の場を確立し、流通秩序の適正化を図る。

4 販売姿勢
動物用医薬品の価格は、その医薬品の本質が有する品質、有効性および安全性から、各製造業者および販売業者の責任において公正な競争原理にもとづき自主的に設定する。なお、会員は健全な経営を維持するために、不当廉売は行わない。

5 販売に伴う景品類の提供
(1)動物用医薬品の景品類付き販売は、動物用医薬品に対する社会的不信や批判を招くことのない景品類によって行うこととし、「不当景品類及び不当表示防止法」昭和37年法律第134号)の規定の範囲内とする。
(2)提供が制限される景品類を例示すると、次のとおりである。
 ア 現品添付
 イ 便益(内容が過大である場合、その提供行為が組織的、継続的である場合等)、労務その他の役務
なお、便益、労務その他の役務には、引越しの手伝い、製造販売業者の宿泊施設等の無償利用等が該当する。

6 試供品(サンプル)
(1)試供品は、販売条件と誤られるような方法で提供してはならない。
(2)売品包装は原則として試供品に使用しない。やむを得ず売品と同じ包装品を試供品として使用するときには、売品と明瞭に区別できるように包装に試供品と明示し、売品と区別する。

7 広告・宣伝
(1)広告・宣伝を行う場合は、下記の事項に留意する。
 ア 動物用医薬品が目的とする動物の健康と福祉の向上および安全な食料生産並びに社会生活の質的向上に寄与することを本旨とするものでなければならない。  イ 承認された効能・効果を超えるものであってはならない。
  ウ その内容についての責任を負えるものでなければならない。
  エ 真実な情報を正確に伝達し、獣医師等のユーザーに誤認させてはならない。
 オ 常に品位と良俗を重んじ、動物用医薬品の尊厳性と信頼性を高めるように心がけなければならない。
(2)他社の同類製品との比較広告を行う場合には、「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(昭和62年4月21日公正取引委員会事務局)の記載にしたがい、不当表示にならないようにする。
(3)TV等のマスメディアによる広告を行う場合には、具体的な製品の入手方法および製品説明資料等の入手先あるいは問い合わせ先等が明確に伝わるようにしなければならない。
(4)その他海外旅行招待、高価な物品の提供、大量の試供品提供等、過度に競争を激化させるような内容の広告・宣伝は好ましくない。

8 情報の伝達
動物用医薬品の品質、有効性、安全性および残留性等の技術情報の伝達は、販売活動の最も重要な根幹をなすことを認識し、正しい行動の下で、その普及に努める。

9 直接販売の条件にならないサービス
(1)中元、歳暮、慶弔、餞別およびこれらに類する儀礼的なものは、華美にならないように自粛する。
(2)販売条件とならない招待(記念行事、研究会、説明会等)は、すべて華美にならないように自粛する。
(3)寄付、協賛費、研究費、原稿料等は、常識的な額とし、過大にならないように留意する。

  附 則 
1 この規約は、昭和60年1月10日から実施する。
2 この規約は、平成17年6月1日から実施する。
(平成17年5月12日理事会議決)

動物用医薬品の流通秩序に関する行動規範の運用基準


平成19年4月12日制定

(目的)
 この動物用医薬品の流通秩序に関する行動規範の運用基準(以下、「運用基準」という。)は、動物用医薬品の流通秩序に関する行動規範(平成17年5月31日付け動薬協会発165号。以下、「行動規範」という。)の運用に関する事項について定め、流通過程に関与する者が行動規範の遵守と理解を深めることに資する。

(用語の意味)
行動規範及びこの運用基準で用いる用語の意味は、それぞれ次のとおりとする。

1.行動規範の「動物用医薬品」とは、薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項に該当する物であって、同法第83条第1項の規定により読み替えて適用される同法 第14条第1項に基づき製造販売承認された物をいう。

2.行動規範の「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、方法のいかんを問わず、動物用医薬品の取引に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、次に掲げるものをいう。ただし、正常な商習慣に照らして値引き又はアフターサービスと認められる経済上の利益及び正常な商習慣に照らして動物用医薬品に附属すると認められる経済上の利益は、含まない。

(1)物品及び土地、建物その他の工作物
(2)金銭、金券、預金証書、当せん金附証票及び公社債、株券、商品券その他の有価証券
(3)きょう応(映画、演劇、スポーツ、旅行その他の催物等への招待又は優待を含む。)
(4)便益、労務その他の役務

3.行動規範の「試供品(サンプル)」とは、次に掲げる区分に従い、獣医師、獣医療補助者、動物飼育者(以下「獣医療担当者等」という。)に無償で提供する動物用医薬品をいう。
 
(1)製剤見本
   獣医療担当者等が当該動物用医薬品の使用に先立って、剤型及び色、におい等外観的特性について確認することを目的とするもの

(2)臨床試供品
獣医療担当者等が当該動物用医薬品の使用に先立って、品質、有効性、安全性、製剤的特性等について確認、評価するために臨床試用することを目的とするもの

(不当廉売に関する基準)

不当廉売は、独占禁止法に基づき、不公正な取引方法の一つとして禁止されている。従って、不当廉売に該当する場合は、本来、独占禁止法に委ねられるものであるが、行動規範の4の「販売姿勢」の項において「不当廉売を行わない」と規定しているのは、不当廉売に関する認識を深め、違反行為の未然防止に役立てることを期待しているものである。 行動規範において「不当廉売に該当するおそれがある」としてその是正を依頼する場合における判断基準は、正当な理由がないのに商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあると想定される場合であって、次の三項目によって判断する。
 
1.廉売の態様
  問題となる廉売の態様としては、「供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給」する場合と、「その他不当に低い対価で供給」する場合の二つがあり、このような廉売によって「他の事業者の事業活動を困難にするおそれ」がある場合に不当廉売に該当するおそれがあるものとして判断する。

(1)「供給に要する費用を著しく下回る対価」とは、総販売原価を著しく下回る価格という趣旨であることから、製造販売業においては、実際の製造(輸入)原価及び販売費用を加えた価格を下回る価格がこれに当たる。ただし、このような価格による販売であっても、それが極めて短期間であったり単発的な場合は、競争への影響が通常は無視できると考えられることから、不当廉売のおそれがあると判断されない。
(2)極めて短期間あるいは単発的な廉売であっても、商品の特性、廉売の目的・効果等の観点から、「その他不当に低い対価で供給」に当たる場合もあることから、この場合においては、他の事業者の事業活動を困難にするおそれがあるか否かによって判断される。

2.競争への影響
問題となる廉売によって「他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある」場合は、不当廉売に該当するおそれがあるものとして判断する。この場合、現に事業活動が困難になることは必要なく、諸般の状況からそのような結果が招来される蓋然性が認められる場合を含むものである。具体的には、廉売している事業者の事業の規模、事業態様、廉売商品の性質、数量、廉売期間、広告宣伝の状況等を総合的に考慮して、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるか否かを判断する。
3.正当な理由
  廉売の態様及び競争への影響から不当廉売に該当するおそれがあると判断されるものであっても「正当な理由」があるときは不当廉売のおそれがあると判断されない。例としては、期限切迫品のように販売の最盛期を過ぎたものについて、見切り販売する必要がある場合には、製造販売原価を割るような低い価格を設定する場合は正当な理由に該当する。

(景品類提供の制限の原則に関する基準)

1.動物用医薬品の景品類付き販売は、獣医療担当者等に対して動物用医薬品の取引を不当に誘引する手段として行う場合には制限される。ただし、正常な商習慣に照らして値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益又は正常な商習慣に照らして動物用医薬品に附属すると認められる経済上の利益を提供する場合は差し支えない。この場合、取引を不当に誘引する手段の判断は次によるものとする。

(1)「取引を不当に誘引する手段」とは、獣医療担当者等に提供する景品類の額及び提供方法が、当業界における正常な商習慣に照らして適当と認められる範囲を超える場合をいう。

(2)次の場合は、「取引を不当に誘引する手段」には該当しない。
① 行動規範の5の「販売に伴う景品類の提供」に違反しない景品類付き販売の例に該当する場合
② 少額で、正常な商習慣に照らして適当と認められる範囲を超えない景品類を提供する場合、慣例として行われる親睦の会合に際して提供する社会通念上華美、過大にわたらない贈答、接待の場合、慣例として行われる自己又は獣医療担当者等の記念行事に際して提供する社会通念上華美、過大にわたらない贈答、接待の場合
③ 製造販売業者が、獣医療担当者等を対象として、自社動物用医薬品に関連する講演会等を開催する場合。ただし、製造販売業者が、獣医療担当者等を対象として、自社動物用医薬品に関連しない講演会等を開催する場合において、会合費用以外の景品類を提供する場合を除く。
④ 学術振興、社会福祉その他公益的目的で寄付する場合
⑤ 獣医療担当者等が主催する研究会等の団体に製造販売業者が賛助会員として加入し、会費を支払う場合。ただし、通常会費(正会員・賛助会員が構成員として会の運営等のために経常的に要する費用の分担金として支出する会費)以外の会費はその内容の実質が何に当たるかによって「取引を不当に誘引する手段」に該当するか否かが判断される。

2.行動規範の5の「販売に伴う景品類の提供」に違反する景品類付き販売、違反しない景品類付き販売を例示すると、次のとおりである。
(1)違反する景品類付き販売の例
   ① 獣医療担当者等に対し、動物用医薬品の選択又は購入を誘引する手段として景品類を当業界における正常な商習慣に照らして適当と認められる範囲を超えて提供する場合   
   ② 獣医療担当者等に対し、動物用医薬品の選択又は購入を誘引する手段として無償で動物用医薬品を提供する場合

(2)違反しない景品類付き販売の例
① 獣医療担当者等における自社の動物用医薬品の使用に際して必要な物品若しくはサービス又はその効用、便益を高めるような物品若しくはサービスを提供する場合
② 動物用医薬品に関する獣医学・薬学的情報その他自社の動物用医薬品に関する資料、説明用資材等を提供する場合
③ 試供品(サンプル)を試供品提供基準により提供する場合
④ 獣医療担当者等に依頼した動物用医薬品の市販後調査、治験その他獣医学、薬学的調査・研究の報酬及び費用を支払う場合
⑤ 獣医療担当者等を対象として自社の動物医薬品に関する講演会等に際して提供する華美、過大にわたらない物品若しくはサービスを提供又は出席費用を負担する場合

(試供品提供基準)

 次の区分における試供品の提供は、行動規範の6の試供品(サンプル)の項において定める「販売条件と誤られるような方法」には該当しないものとする。
 
(1)製剤見本
① 包装単位は、製剤見本の目的に応じた最小包装単位とする。 
② 提供量は、製剤見本の目的に応じた必要最小限度とする。
③ 卸売業者を経由して提供する場合は、提供先飼育動物診療施設等を指定する。

(2)臨床試供品
① 動物用医薬品製造販売業者の動物薬情報担当者が獣医療担当者等に対する情報提供に伴って提供する物である。
② 臨床試用を行おうとする獣医療担当者等の書面による許諾書又はそれに代わるものがあった場合を基本として提供する。
③ 提供量は、臨床試供品の目的に応じた必要最小限度とする。

(寄付に関する基準)

 行動規範9の直接販売の条件にならないサービスの項に規定する「寄付」は、本来、取引に関係なく、無償で金品を提供することをいい、協賛金、賛助金、援助金その他名称のいかんを問わず、取引誘引の手段として行われる景品類の提供とは結びつかないものである。しかし、形式的に無償とされていても、事実上、「寄付の見返りとして、動物用医薬品の購入に関する有利な取扱い」などの寄付者である製造販売業者側の利益が約束されている場合や、社会通念を超えて過大となるような寄付の要請に対して、製造販売業者が取引への影響を考慮し応じる場合などは、不当な取引誘導の手段として行われる景品類の提供に該当し、制限される。
 
(1)学術目的の寄付
   医学、薬学、獣医学の研究を主たる目的とする組織への研究援助としての寄付であり、それ自体は景品類として規制されない。ただし、拠出の方法等によっては、寄付本来の趣旨を逸脱して、個々の獣医療担当者等に対する取引手段となるおそれがあるので、その組織が獣医療担当者等とは別個の団体であることを確認し、その他必要な事項を確認しなければならない。

(2)公益目的の寄付
  獣医療担当者等に対する医学、薬学、獣医学等の研究及び共進会等への援助、社会福祉その他公益目的のための寄付は、動物用医薬品の取引を誘引する手段として提供するものではないので、原則として制限されない。ただし、研究の援助等は名目に過ぎず、実際は飼育動物診療施設等で使用する物品の購入、施設の増改築、経営資金の補填その他当該飼育動物診療施設等自身の利益のための使用に充てられる寄付である場合は、公益目的とはいえず、不当景品類としての金銭・物品の提供に当たり、制限される。
  (3)災害に対する寄付
     製造販売業者が、災害によって被害を受けた獣医療担当者等に対して、災害復旧、救命活動の過程で義援金、災害見舞金、物品を拠出することは、動物用医薬品の取引を誘引する手段として提供するものではないので、制限されない。
  (4)団体が行う寄付
社会的に公認されている飼育動物関係団体で取り決めた寄付金の拠出は、個別の製造販売業者の取引を誘引する手段として提供するものではないので、制限されない。

   附 則

  この規定は、平成19年4月12日から施行する。
  (平成18年12月20日流通問題委員会議決)

動物用医薬品の流通における品質保全に関する実践規範


1. 実践規範作成のねらい
 動物用医薬品の有効性と安全性に対する畜水産物の消費者の関心は高まり、動物薬業界に対して動物用医薬品の品質保全のための体制確立が求められている。  全国動物薬品器材協会及び日本動物用医薬品協会は、これに応え「動物用医薬品の流通における品質保全に関する実践規範」を策定し、流通における動物用医薬品の品質管理と保管についての基本的姿勢を表明し、実践にむかって体制を固めようとするものである。この実践規範は「動物用医薬品の流通秩序の維持に関する行動規範」の一般原則に掲げる品質保全を自主的に実践するため、具体的実施方針を策定するのに役立てようとするものである。

2. 実践事項
(1)動物用医薬品を取扱う場所は清潔にしておく。
動物用医薬品を管理し、保管するために品揃え、検品、荷造、梱包などを行う場所(以下、供給業務を行う場所という)は常に清潔に保つこと。供給業務を行う場所は、混乱、汚染、手違いを防止するために適切な面積と空間を有すること。供給業務を行う場所内での喫煙、飲食は行わないこと。更衣室、休憩室、便所などの付帯設備は供給業務を行う場所には設けないこと。
(2)動物用医薬品の出納は先入れ先出しを基本とする。また管理し保管する場所には適切な設備を設ける。
適切な採光・喚起・照明施設・毒物劇物の保管施設、および温度と湿度の調整施設がなされていること。先入れ先出し設備(例:棚の背面より入品し前面より出品、または棚の前後に通路を設け入品通路と出品通路に区分)と、動物用医薬品を直接床に密着させないで管理し保管する設備を有すること。
動物用医薬品の流出、発火、引火などにより発生する火災防止設備を有すること。
(3)動物用医薬品は、入庫から出庫に至るまで適切な管理を行う。発注控書、納品書、現品を照合確認のうえ、明確に区分して供給業務を行う場所に適切に管理して保管すること。入荷した動物用医薬品は、受入担当者によって封印の有無、表示の適否、汚破損等を検査して受け入れるものとする。
受け入れ検査で適正な動物用医薬品ではないとされたものは直ちにその旨を標示し、他の医薬品と区別して管理し、保管し廃棄又は返品などの方法によってすみやかに措置すること。
受け入れ検査に合格した動物用医薬品は、受け入れの順位に従って出庫できるよう室温保存、冷蔵保存などそれぞれ定められた温度区分に従って整理保管すること。 有効期限のある動物用医薬品は、他の医薬品と区分して管理、保管する。
(4)受注品の出庫は正確に行われるようダブルチェックに努める。
先入れ先出しにより出庫を行い、受注メモにより正確に伝票を作成し伝票通りの出庫を行うこと。
(5)動物用医薬品の配送は品質保持、汚破損などについて適正な措置を講ずる。配送にあたって保冷を要する動物用医薬品は、アイスボックスなどを使用し、なるべく短時間に配送を完了すること。配送車は直接日光を避けて駐車し、医薬品に直接日光があたらないよう注意する。
酷暑時の配送は、配送車内温度の著しい上昇に注意し、厳寒時の配送は医薬品の凍結防止を配慮すること。
配送中は車両内で汚破損が起こらないよう留意すること。また配送車積載時の点検、納入先での受け渡しは正確に行い、誤配防止に努めること。
(6)戻り品および返品については適切に措置すること。
流通段階にある動物用医薬品は、適正に保管することによって返品の発生を防止すること。なお、返品については「返品医薬品」と明示した場所に保管し、在庫医薬品と明確に区分すること。
(7)その他
動物用医薬品にかかわる苦情については迅速に調査を行い適切な措置をとること、実施した措置については業務日誌等に記録し保存すること。


動物用医薬品の販売に関する営業倫理


1.企業価値・市場価値の創造
企業は、社会に有用な価値を創造し、社会に提供をすることを目的とする組織体である。そして利益は創出した価値が評価され、社会から与えられる報酬である。昨今、この理念が崩れあまりにも利潤だけを追求するあまり不祥事があいつでいるのが現状である。通常の商習慣の限度を超えて利潤のみを考え、あるいは一人勝ちをしようとして不公正な取り引きを行うことは、動物用薬品の安定供給と品質保持に悪い影響を及ぼすだけでなく、動物用薬品業界に対する社会の信用を失うことにもなる。企業はすべてのことに関して、その企業の判断尺度は、「正しいかどうか」と「公正であるかどうか」である。しかし、ここでいう「正しさ」または「公正さ」とは、我々が生活する社会に対してのものである。いいかえると個人的とかその企業にとっての正しさや公正さではない。コンプライアンスをすることは企業価値・市場価値の創造になることであり、それを破ることは社会からレッドカードを突きつけられるのである。すなわち、働く場を失うことであることを理解すべきである。

2. 販売業者の営業倫理
動物薬市場の低成長が続き、法律改正による使用規制が厳しくなり、また販売員の業績評価導入等により競争が激しくなり行動規範を逸脱する可能性が増している。動物用薬品は蓄水産市場には生産資材として、またペット市場には伴侶動物医学として取り扱われているが、人体用医薬品とは異なり、販売効率の悪さまた、利益性において著しく不利な条件に置かれている。しかし、我々は有用な動物用医薬品等の安定的な供給を通して動物の健康と食の安全に貢献することを社会的使命とする業界で働くものとして目先だけの利潤の追求であってはならないことを心がけるべきである。特に会社のトップまたはその部署の責任者は部下に対して何故コンプライアンスが大事なのか、会社のビジョンと合わせて説明をすべきである。最近は電子メールが発達し情報の共有が簡単に出来るようになったが、それで終わっているのが現状です。情報の共有と認識の共有は別である。認識の共有が出来ていないから問題がおきるのである。
会社は定期的にコンプライアンスの社員教育を実施することも大事である。
世の中が混乱すればするほど、毅然たる態度をもって、この業界に働くものとしての信念を守らなければならない。また、営業とはまず、第一に考えを売り、第二に人格、第三に優良品、第四に真心、そして最後に、良きサービスを売ることである。景気が良いとか景気が悪いとかは天然現象ではないのである。人為現象なのである。つまりは、一人ひとりの心の所産である。一人ひとりの良識を高めることが必要である。特に動物用薬品は市場があまり大きくないにもかかわらず開発費は約80億円から100億円位が必要になってきています。今後ますます新薬の開発は難しくなることが予想されます。そのような中、不当廉売等で製品の寿命を短くすることは私たちの自身の首を絞めることになり死活問題である。動物の健康と食の安全に貢献することを社会的使命として、その社会的責任を果たすには、一時的な利潤を追求するのではなく、長期的な視野にたって判断をすべきである。